ビジネスに於いてフリーライドは許されない

初めまして

melloと申します

 

今回もフリーライド(タダ乗り)についてです

 

結果だけ知りたい方向けに結論を先に書かせて頂きます

 

企業の経営に於いて一部事業で黒字、一部赤字の状態を放置してはならない

 

内容が気になった方は引き続きご覧ください

 

 

 

 

 

 

 

さて、今回もフリーライドを取り上げます

 

10月より、SBI証券楽天証券において、国内株式取引手数料の完全無料化が発表がなされました(SBI証券は9月30日から、楽天証券は10月1日から)

この発表に多くの株式インフルエンサーが大はしゃぎをしました

連日、この発表を褒め称える内容でしたね

 

しかし、私はこの方針には手放しで賛成は出来ません

 

 

 

各証券会社の国内株式手数料が占める営業利益の割合を表した表がこちらになります

ご覧の通り、SBI証券は全体の営業利益の11%を捨てる事で国内株式取引手数料の無料化が出来ます

楽天証券は17%です

 

SBIと楽天、この二つがネット証券会社の2強と言って問題無いでしょう

この2社が無料化に踏み切れた理由は、他部門で手数料を徴収しているからです

信用取引先物取引空売りなどの、特別な取引に応じて手数料を得ています(FXやCFDなども)

 

これが、今後、国内株式だけを取引する人は手数料を負担しなくて良い事になります

 

企業側から見たら、国内株式部門は今後、一生赤字を垂れ流す事になります

その赤字を上記の特別取引をしている人達の手数料やその他サービスで賄う事になります

 

この状態ははたして健全な状態といえるのでしょうか?

 

私は、良いサービスには適正な価格を支払うべきだと考えています

それは以前の記事でも書かせて頂きました

 

melloblog.hatenadiary.com

 

しかし、それと同時に、別の記事ではコスト(手数料)は低ければ低いほど良いとも言いました

 

melloblog.hatenadiary.com

 

矛盾を孕んでいる様に見えますが、私はどちらか一つが間違っているとは考えていません

「タダ乗りはよくない」と「タダに近いほうが良い」なので、矛盾ではないのです

 

確かに、コストは低ければ低いほど良いのですが

それは、資金が集中すればするほど極小の%の手数料であってもサービス提供者はそれなりに儲かるからです

 

コストが低い事により、顧客は良い商品と考え購入する、するとサービス提供者は手数料が入る、儲かったサービス提供者はさらにコストを削減する、さらに良い商品になったのでさらに顧客が集まる…etc

と良い循環が生まれるので、コストは低ければ低いほど良い

と表現しました

 

これがコストの存在しない商品の場合、サービス提供者はタダ働きです

確かに顧客は一番利益を享受できますが、営利企業であるサービス提供者はすぐに、そんなサービスは廃止します

結果、僅かなに間だけ存在する商品となります

売買に関して発生する税金の分だけ損をするかもしれません

サービス提供者にも株主が居ますので、彼らに納得してもらえる説得内容が無い限り、タダ働きするくらいなら株主に配当しろ、と言われるのがオチですから

 

企業がタダ働きしているという事は、言うなれば

労働環境にうるさくなった昨今に、従業員にサービス残業をさせるようなものです

 

 

では、SBIや楽天がなぜこんな事をやろうとしているのか?

それは、資金力を背景にした他社へのマネーパワープレイです

 

画像の通り、SBIは営業利益の約10%で無料化が可能です

他方で、松井証券は営業利益の約50%かかります

営業利益の半分を捨てないとSBIと同じ土俵に立てないのです

当然そんな要求は飲めませんから松井証券は突っぱねました

営業利益の全体額が少ないマネックスも拒否しました

 

SBIも楽天も無料化に伴い、失う利益が惜しくない訳がありません

しかし、それ以上に他社から顧客を引き抜くことを優先したという形です

携帯電話各社が、他社からの乗り換えに多くのメリットを乗せるのと似ていますね(MNP特典など)

 

楽天はモバイル事業に関しても、1年間無料という大風呂敷を広げて参入しました(正確にはMVMOからMNOへ)

その結果が三木谷社長のコメントです

「0円でずっと使われても困る」

 

モバイル事業で大赤字を垂れ流す楽天ですが、今回の無料化には勝算はあるのでしょうか?

はたまた、またしても「0円でずっと使われても困る」とばかりに有料化されるのか

 

業界最大手のSBIに関しても、今まで得ていた手数料を捨てる訳ですから

この一手で顧客を他社から膨大に引き抜けなければ大損することになります

証券口座は携帯電話とは違って一人一つが普通という訳ではないので

よっぽど強力に顧客を繋ぎ留める為のメリットを提供し続けなければなりません

はたしてその体力は持つのでしょうか?